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便秘や宿便の改善に効果的な漢方とは?

辛い便秘の解消法はいろいろとありますが、その中の方法のひとつに漢方があります。便秘改善、宿便改善に効果的な漢方を詳しく紹介します。

そもそも漢方とは?

そもそも、漢方とはなんでしょうか。漢方について詳しく説明します。

◇漢方について

 

漢方とは、中国から伝わって来た伝統の医術や薬術のことです。お医者様の診断で漢方の処方を受ければ「医術」、薬局などで薬剤師が相談に応じて漢方製剤を販売するのが「薬術」となります。
漢方は、心と身体を一つのつながりとして捉えます。体内の「気」「血」「水」というエネルギーのバランスによって、心身状態を「健康」「未病」「病い」と分けます。
◇漢方と漢方薬

 

 「漢方=漢方薬」と誤解している方も多くいらっしゃいます。漢方は術であるに対して、漢方薬とは生薬と呼ばれる自然界の植物や動物・鉱物を原料として、漢方理論を基に組合せた自然治癒力を高めるための治療薬のことです。
◇漢方と西洋医学

 

 漢方(東洋医学)は、病気をみるのではなく病人をみるという人を主体に置いて、全体のバランスから治療します。
一方、西洋医学(現代医学)は、病気をミクロの観点で分析することを主体に置いて治療をします。
このように、治療の対象が異なります。
西洋医学(現代医学)では、病名が付かないものは病気とみなされず、治療対象とされないことが多々あります。
しかし漢方(東洋医学)では、病名がつかない不良を「未病」とし治療対象となります。未病は、心と身体が本来あるべきバランスを崩し発するSOSが、症状として現れているという考え方です。ですので、現れている症状だけに着眼するのではなく、根本(本来の心と身体の正しいバランス)を改善することを目指します。
 「上工治未病(じょうこうちみびょう)」という言葉が中国医学古典にあります。これは、真の名医は病い芽生え始める初期段階にて、未然に病いを防いでしまうという意味です。漢方は、まさに「予防第一」という思想における必須知識といえます。

便秘・宿便の改善におすすめ漢方を紹介!

漢方では、悩みに対して全体的な治療をします。悩んでいる人そのものの身体、つまり体質に合わせて漢方薬を摂り入れるということです。では、便秘改善や宿便改善のおすすめ漢方薬を紹介します。

◇便秘におすすめの漢方

 

【体力に自信のある人】
 おすすめ漢方は、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」です。特に、体も胃腸も丈夫な女性の便秘改善におすすめです。便秘に限らず、生理痛や生理不順という女性特有の症状や下腹部圧痛・肩こり・頭痛・のぼせなどを伴う症状に最適です。これらの症状を漢方では、「血」のエネルギーの循環不良が原因と考えます。桃核承気湯は、「血」の不調を取り除く作用に優位性を持ちます。作用の比較的強い成分で構成されているため、服用から2~3日で便秘解消が予想されます。便秘に伴う症状改善にもつながりますので、体調を整えるため1か月程は回数や量を加減しながら飲むことがおすすめです。
【体力は普通という人】
 「桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)」がおすすめです。この漢方は、便通が乱れがちな人やストレスに弱く過敏性腸症候群の人にもおすすめです。成分の桂枝は、精神を安定させ体を温める働きをします。芍薬には腹痛を取り除き腸の働きを整える作用があります。そして大黄は、便意を起こさせ溜まった便を取り除く作用があります。
 作用がマイルドな成分で構成されているため、服用から1~2週間で便通がよくなり便秘が解消されると予想されます。便通の様子をみながら回数を減らしつつ、頓服として継続すると効果的です。
【体力の弱い人】
中高年からおすすめなのが、「麻子仁丸(ましにんがん)」です。この漢方は、体力に自信なく胃腸も弱いという方向けです。年齢と共に体内の水分は偏りがちとなります。そのため、腸では水分の吸収が悪くなり、コロコロと硬い便となり便秘が起こりやすくなります。このような症状を漢方では、「水」のエネルギーの循環不良が原因と考えます。麻子仁丸には腎臓の機能を向上させる作用があるため、「水」エネルギーの偏りからくる乾燥や頻尿などの症状改善にも効果的です。服用から1~2週間で便秘解消となることが予想されますが、穏やかな作用で滋養のために継続服用しても安心です。便通と体力の様子をみながら継続的服用をすることがポイントです。
【体力が弱い〜中くらいの人】
 おすすめ漢方は、「潤腸湯(かんちょうとう)」です。名の通り腸が潤う、つまり便をやわらげなめらかな流れの腸内へと導きます。便がコロコロしている方に最適です。高齢者や女性におすすめです。
【虚弱体質の人】
 安全性の高い「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」がおすすめです。この漢方は、丈夫で元気な胃腸へ導くため、軟便にする成分は入っていません。緩やかな効果の現れで、副作用のリスクを避けたい方におすすめです。
【ストレス過多の人】
 便秘の原因はストレス!という方は、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」がおすすめです。メンタルへ働きかける効果が大きい漢方として知られています。便秘以外にも、のぼせ感や肩こり、疲れやすいなどの症状にも効果的です。

◇宿便におすすめの漢方

 

 「宿便」というのは俗語です。西洋医学’(現代医学)としても漢方(東洋医学)としても「宿便」という概念はありません。
 俗語で使用されている「宿便」とは、“便秘により長い期間、腸内に溜まっている便”を意とします。つまり、長期間の便秘状態の便ということです。
 長期にわたる頑固な便秘対して漢方は、便秘解消にだけ目を向けるのではなく、「気」「血」「水」のバランスを整え体質改善という全体に目を向ける必要があります。個々の生活習慣や食生活・体質などを踏まえ、漢方薬や漢方茶など上手に摂り入れることがおすすめです。

漢方を使用するメリットとは?

便秘解消商品やお薬はたくさんある中、漢方を使用するメリットについて説明します。
◇漢方のメリット

 

【便秘だけじゃない!付随する体調不良が改善!】
 便秘が原因でイライラしたり、肌が荒れたり、食欲が減るなど便秘に伴う症状も辛いものです。これらの症状を漢方は、全体から改善するため、まとめて症状を緩和改善していきます。
【習慣化しくにい】
 便秘薬は、鈍った腸運動を促す成分が主成分となりますので、便通への即効性があります。しかし使い続けることにより、体が慣れてしまい効果が減少や自発的腸運動の妨げになってしまうという結果も多々あります。
 漢方は、ただ鈍った著運動を促すだけではありません。内臓全体へ作用するため、便秘解消だけでなく便秘になりにくい体質へと改善していきます。体質改善は一夜に成り立つものではありませんので、漢方は長期服用が前提とされます。漢方を毎日服用し続けた結果、便秘薬を服用しないと便が出ないという体にサヨナラできるのです。
【誰でも使える】
 便秘薬は効果効能に差があり副作用も多いことから、妊婦さんや高齢者は使用不可というケースも多くあります。
 しかし漢方は、便秘薬とは異なり穏やかな作用のものが多く、使用不可というケースは少なくなります。ただし、市販便秘薬の服用を止められている場合は、医師に相談し自分に合った漢方を見つけることが大切です。

漢方を使用する際の注意点とは?

穏やかな作用で使いやすい印象の漢方もメリットばかりとは限りません。もちろんデメリットもあります。便秘解消に効果的な漢方を使用する注意点を紹介します。
◇漢方の注意点

 

【服薬中の方は医師へ相談したから】
 「生薬だから漢方には副作用がない」というのは誤解です。服用するお薬との相性があるため、組合せ次第では副作用が出ます。現在持病や疾病などがあり服薬中のお薬があるときは、必ず医師へ相談の上、漢方服用を開始してください。また妊婦さんも同様です。特に妊娠初期は、体内で赤ちゃんが臓器形成を行う大切な時期です。漢方とはいえども、安易に服用せず、必ず医師へ相談してからにしましょう。
【突然の便秘発症!】
 便秘の多くは体調不良からですが、病気が原因で便秘になることもあります。特に腸に癌やポリープが原因で便秘なるケースもあります。便秘とは無縁だったのに突然便秘になったという場合、まずは病院で医師の診察を受けましょう。
【長期的便秘で辛く苦しいなら】
 便秘続きで辛く苦しい時は、まずはすぐに便を出すことが必要です。即効性があるのは、漢方ではなく便秘薬です。便秘が長期にわたると、腸内水分が不足し自力で排便することが困難になります。そうなる前に、今腸内に滞ってしまった便を出して上げることも大切です。

漢方から学ぶ便秘解消

漢方は、予防医学ともいえます。病いや未病を改善し健康な自分を維持するという概念です。そのために漢方薬は、体質改善を目的とし、便秘以外の付随する不調の緩和治癒へと身体を導きます。そして身体と心は一つのつながりと考えます。
便秘改善には、便秘薬や漢方薬などの医薬品を症状に応じて使いながら、日常の生活習慣や食習慣などの見直しも大切になってきます。たとえば普段飲むお茶を便秘茶に変えるなど、日常での細やかな工夫が便秘と戦うストレスを軽減してくれます。自分に合った方法で無理なく便秘解消する方法をみつけましょう。